排気ダクトの保温は必要?目的や必要なケース、保温材の選び方を解説
排気ダクトの保温は、結露の防止やダクトから周囲へ伝わる熱の影響を抑えるために行います。
ただし、すべての排気ダクトに保温が必要なわけではありません。
保温の必要性は、排気する空気の温度や湿度、ダクトを通す場所、周囲との温度差、防火上の条件などを確認したうえで判断することが大切です。
本記事では、排気ダクトを保温する目的や、保温が必要なケース、保温材を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。
排気ダクトに保温は必要?

排気ダクトは、すべてのケースで保温が必要になるわけではありません。
排気する空気と周囲の温度差が小さく、結露や周辺への熱の影響がほとんどない場合は、保温を省略することもあります。
一方、ダクト内外の温度差が大きい場合や高温・多湿の排気、屋外など温度変化の大きい場所では、結露や熱影響を防ぐため保温が必要になることがあります。
代表的なケースごとの考え方は、次の通りです。
| 使用条件 | 保温の必要性 | 主な理由・注意点 |
|---|---|---|
| 室温に近い一般的な換気排気 | 条件による | ダクト内外の温度差が小さく、結露や熱影響が生じにくい場合は省略できることがある |
| 冷たい空気を高温多湿の場所に通す | 高い | ダクト表面が露点温度を下回ると、外面結露が発生する可能性がある |
| 暖かく湿った空気を冬季の屋外へ排気する | 高い | 排気が冷やされ、ダクト内部に結露が発生する可能性がある |
| 浴室・洗浄室などの高湿度排気 | 高くなりやすい | 内部結露や腐食への対策が必要になることがある |
| 厨房などの高温排気 | 条件による | 周囲への熱影響に加え、防火性や清掃性なども確認が必要になる |
| 屋外に設置する排気ダクト | 条件による | 温度差による結露に加え、防湿・防水や外装にも配慮が必要になる |
ただし、上記はあくまで一般的な考え方の目安です。
実際に保温が必要かどうかは、排気する空気の温度・湿度、ダクト周囲の温度・湿度、設置場所、周囲への熱影響などを確認したうえで判断することが重要です。
また、保温が必要な場合でも、目的や使用環境によって必要な保温材の種類や厚さ、仕上げ方法は異なります。
排気ダクトを保温する目的

排気ダクトを保温する主な目的は、次の通りです。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| ダクト表面の結露を防ぐ | ・ダクト表面の温度変化を抑える ・結露水によるダクトや天井材、周辺機器の腐食・汚損を防ぐ |
| 排気による熱が周囲へ伝わるのを抑える | ・設備や配線、建材などへの熱影響を抑える ・点検・保守時に高温のダクトへ触れるリスクを軽減する |
| ダクト内部の温度変化を抑える | ・排気がダクトを通る間の急激な温度変化を抑える ・高温多湿の排気では、温度低下による内部結露を抑えやすくする |
ただし、保温材を施工するだけですべての問題を防げるわけではありません。
結露対策では防湿処理、屋外では防水性のある外装、内部に水が発生する場合は排水対策などが必要になることがあります。
また、厨房排気など高温の空気や油分を含む用途では、保温とは別に防火性や清掃性、耐久性も考慮する必要があります。
排気の条件や設置環境に合わせて、保温材だけでなく周辺の仕様も含めて選ぶことが大切です。
排気ダクトの保温が必要になりやすいケース

排気ダクトの保温は、排気する空気の温度や湿度だけでなく、ダクトを設置する場所や周囲の環境も含めて判断する必要があります。
特に保温が必要になりやすいケースは、次の通りです。
- ダクト内外の温度差が大きい場合
- 高温・多湿の空気を排気する場合
- 周囲への熱影響を抑える必要がある場合
- 屋外や温度変化の大きい場所に設置する場合
ここからは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
ダクト内外の温度差が大きい場合
ダクト内部を流れる空気と周囲の空気との温度差が大きい場合は、結露が発生しやすくなります。
たとえば、冷たい空気が流れるダクトを高温多湿の場所に設置するとダクト表面が冷やされ、外側に結露が発生することがあります。
結露水が天井材へ滴下すると染みや汚損の原因になるほか、ダクトや周辺設備の腐食につながりかねません。
反対に、暖かく湿った排気が冬場の屋外や冷えた天井裏を通る場合は、排気が冷やされてダクト内部に結露する可能性があります。
内部にたまった結露水は、漏水やダクトの腐食につながる可能性があるため注意が必要です。
そのため、結露の発生を抑える目的でダクトを保温する必要性が高くなります。
なお、結露の起こりやすさは温度差だけでなく、排気や周囲の湿度、設置場所などによっても変わります。
高温・多湿の空気を排気する場合
厨房や浴室、食品工場、洗浄設備などから出る排気には、熱や多くの水蒸気が含まれることがあります。
こうした排気が長いダクトや冬場の屋外区間を通ると、途中で温度が下がり、ダクト内部に結露水が発生しやすくなります。
たとえば、浴室や洗浄設備で暖かく湿った排気が冷たい屋外区間で冷やされることで、ダクト内部に結露が生じるといったケースです。
食品工場でも蒸気を多く含む工程からの排気では、同様に内部結露に注意が必要です。
こうした場合は排気の温度低下を抑え、内部結露のリスクを抑えるために、ダクトを保温する必要性が高くなります。
また、厨房排気では水蒸気だけでなく油分を含むこともあるため、一般的な高湿度排気とは異なる条件も考慮しましょう。
周囲への熱影響を抑える必要がある場合
高温の排気が流れるダクトでは、ダクト表面から周囲へ熱が伝わります。
そのため、近くに配線や設備、建材などがある場合は、熱による劣化や温度上昇に注意が必要です。
また、点検や保守の際に高温になったダクトへ触れるおそれがある場合もあります。
排気温度が高く、周囲への熱影響を抑える必要がある場所では、ダクトを保温する必要性が高くなるのです。
なお、通常の断熱・結露対策を目的とした保温と、防火上必要となる被覆は、目的や必要な性能が異なります。
ただし、厨房排気ダクトでは、設置条件や関係法令・条例などに応じて、ダクトと可燃物との離隔や不燃材料による被覆など、防火上の措置が求められる場合があります。
実際の仕様は、建築・消防関係の法令や基準、各自治体の火災予防条例、設計図書などを確認して決定しましょう。
屋外や温度変化の大きい場所に設置する場合
屋外や開放廊下、屋根上などに設置する排気ダクトは、季節や時間帯による気温の変化に加えて、日射や雨、風などの影響を受けます。
たとえば、暖かく湿った排気が冬場の屋外を通ると、ダクト内部で結露しやすくなります。
反対に、低温の空気が流れるダクトでは、夏場に外側へ結露が発生することも。
このように、屋外や温度変化の大きい環境ではダクト内外の温度差が生じやすく、内面結露や外面結露のリスクが高まります。
そのため、結露を抑える目的でダクトを保温する必要性が高くなるのです。
なお、屋外では雨や湿気の影響も受けるため、設置環境に合わせて保温材や防水性のある外装の仕様を選びましょう。
排気ダクトに使われる保温材の種類

排気ダクトの保温には、熱の移動を抑える「保温材」と、表面を保護する「外装・仕上げ材」を組み合わせて使用します。
主に使われる材料は、次の通りです。
- グラスウール
- ロックウール
- 発泡ゴム系保温材
- 発泡ポリオレフィン系保温材
- アルミガラスクロス
- 金属製外装材
ここからは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
グラスウール
グラスウールは、ガラスを細い繊維状に加工した保温材です。
ダクトの保温材として広く使われており、板状や帯状など、施工する場所に合わせてさまざまな形状があります。
比較的扱いやすく、一般的な空調・換気ダクトの保温に適しています。
結露対策として使用する場合は、保温材の厚さだけでなく、湿気が内部へ入り込まないように仕上げることも重要です。
特に、継ぎ目や切断部、フランジ、点検口の周辺は保温層や防湿層が途切れやすい部分です。
使用する保温材や外装材の仕様、設計図書などに従い、継ぎ目まで連続した保温・防湿性能を確保するように施工します。
ロックウール
ロックウールは、鉱物などを高温で溶かし、繊維状に加工した保温材です。
耐熱性に優れているため、高温の排気が流れるダクトや、熱への配慮が必要な場所で使用されることがあります。
ただし、ロックウールであれば、どのような高温環境にも対応できるわけではありません。
製品によって対応できる温度や密度、厚さなどが異なるため、実際の排気温度に合った製品を選ぶ必要があります。
また、厨房排気など防火上の条件がある場合は、ロックウールを使用しただけで必要な防火性能を満たせるとは限りません。
保温材の種類だけでなく、厚さや固定方法、施工方法なども含めて確認することが重要です。
発泡ゴム系保温材
発泡ゴム系保温材は、合成ゴムなどを発泡させてつくられた柔軟性のある保温材です。
代表的なものには、NBR(ニトリルゴム)系やEPDM(エチレンプロピレンゴム)系などがあります。
独立気泡構造の製品は、水分や水蒸気が内部へ入り込みにくいことが特徴です。
断熱性にも優れており、ダクトや配管の結露対策に適しています。
また、柔軟性があるため、曲がり部や継ぎ目などの形状に合わせて施工しやすいメリットも。
ただし、使用できる温度範囲や耐候性、防火性能などは、使用されているゴムの種類や製品によって異なります。
特に排気温度が高いダクトに使用する場合は、実際の温度に対応できる製品かどうかを確認することが重要です。
施工場所や防火上の条件も踏まえ、必要な保温性能や製品仕様を確認したうえで選定します。
発泡ポリオレフィン系保温材
発泡ポリオレフィン系保温材は、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂を発泡させた保温材です。
軽量で加工しやすく、断熱性や耐水性に優れています。
そのため、ダクトや配管などの保温・断熱に適した素材です。
シート状の製品などは切断や貼り付けがしやすく、ダクトの形状に合わせて施工しやすい点も特徴です。
しかし、使用できる温度範囲や難燃性などは製品によって異なります。
そのため、すべての排気ダクトに使用できるわけではありません。
特に、高温の排気が流れる場所や防火上の条件が定められている場所では、使用温度や防火性能などを確認する必要があります。
設置環境や排気温度に合わせて、適切な厚さや性能を備えた製品を選ぶことが大切です。
アルミガラスクロス
アルミガラスクロスは、アルミ箔とガラスクロスを組み合わせた仕上げ材です。
主にグラスウールやロックウールと一体になった化粧保温材として使用される製品もあります。
そのため、アルミガラスクロスだけで十分な保温効果を得るものではなく、基本的には保温材と組み合わせて使用します。
施工時は、継ぎ目や端部に隙間ができないように仕上げることが重要です。
曲がり部やフランジ、吊り金物の周辺などで破れや浮きが生じると、隙間から湿気が入り込む可能性があります。
特に結露対策を目的とする場合は、表面の仕上げを途切れさせないことが大切です。
金属製外装材
金属製外装材は、主に屋外に設置するダクトの保温材を、雨や風、紫外線、衝撃などから守るために使用します。
保温材の外側を金属板で覆うことで、屋外環境による劣化や水分の侵入を防ぎやすくなるのです。
使用する金属には、めっき鋼板やステンレス鋼板などがあります。
施工では、継ぎ目や端部、曲がり部、壁の貫通部などから雨水が入り込まないようにすることが重要です。
外装の内側へ水が入ると、保温材の性能が低下したり、ダクトの腐食につながったりすることがあります。
そのため、屋外の排気ダクトでは、保温材だけでなく、防湿・防水処理と金属製外装材まで含めて仕様を決めることが大切です。
排気ダクトの保温材を選ぶ際のポイント

排気ダクトの保温材は、排気する空気の温度や設置環境、必要な保温性能を確認したうえで選定することが大切です。
選ぶ際のポイントは、次の通りです。
- 排気する空気の温度に合わせる
- 設置場所や周囲の環境に合わせる
- 必要な保温性能に合わせて種類・厚さを決める
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
排気する空気の温度に合わせる
保温材を選ぶ際は、まず排気する空気の温度を確認します。
通常運転時だけでなく、設備の立ち上げ時や高負荷時など、一時的に温度が高くなるケースも想定しておくことがポイントです。
特に厨房や乾燥設備、生産設備などでは、運転状況によって排気温度が変わることがあります。
そのため、保温材本体だけでなく、表面材やテープ、接着剤、シーリング材なども含めて、想定される温度に対応できるか確認する必要があります。
また、厨房排気のように油分を含む場合は、耐熱性だけでなく防火性や清掃のしやすさも考慮しましょう。
材料の種類だけで判断せず、実際に使用する製品の仕様を確認したうえで選定することが大切です。
設置場所や周囲の環境に合わせる
同じ排気ダクトでも、設置する場所によって適した保温方法は変わります。
屋内と屋外ではもちろん、一般的な天井内と湿気の多い場所でも、必要な対策は同じではありません。
屋内では、必要な厚さの保温材を取り付けられるスペースがあるか、ほかの設備や点検口の邪魔にならないかを確認します。
人や物が触れやすい場所では、保温材が傷つかないよう、表面を保護する仕上げも必要です。
一方、屋外や湿気の多い場所では、水分から保温材を守ることが重要になります。
保温材に水分が入り込むと、本来の保温性能を発揮しにくくなるうえ、ダクトが腐食する原因にもなるのです。
そのため屋外では、設置条件や設計図書に合わせて防湿層や雨水の浸入を防ぐ外装などを組み合わせ、必要な性能を確保します。
さらに、海に近い場所では塩分、工場では薬品などによって外装材が腐食することもあります。
こうした場所では、周囲の環境に耐えられる外装材を選ぶことも大切です。
必要な保温性能に合わせて種類・厚さを決める
保温材の種類や厚さを決める際は、保温する目的をはっきりさせます。
たとえば、ダクト表面の結露を防ぐ場合と高温の排気から周囲への熱を抑える場合では、必要な性能が異なります。
高温多湿の排気が冷えて、ダクト内部に結露するのを防ぎたい場合も同じです。
必要な保温材の種類や厚さを決める際は、主に以下の点を確認しましょう。
- 排気の温度・湿度
- 周囲の温度・湿度
- ダクトの長さや大きさ
- 保温材の種類や熱伝導率などの性能
- 保温の目的や設置環境
それぞれの条件によって、必要な保温材の種類や厚みは変わります。
そのため、どの現場でも同じ厚さにするのではなく、実際の使用条件に合わせて選ぶことが重要です。
ただし、十分な厚さの保温材を使っていても、フランジや点検口、継ぎ目などで保温層が途切れていると、そこから結露や熱漏れが起こることがあります。
保温材は、種類や厚みだけで判断するのではなく、施工後に保温層がきちんとつながっているかまで確認することが大切です。
排気ダクトの施工負担を減らすなら保温材付きダクトがおすすめ!

排気ダクトの保温は、ダクトを設置したあとに現場で保温材の採寸や切断、取付け、継ぎ目処理などを行う方法が一般的です。
ただし、天井内や高所、狭いダクトシャフトなどでは作業スペースが限られ、施工に手間がかかることがあります。
こうした現場では、使用条件に適合する保温付きダクトを使用することで、現場での保温作業を減らせる場合があります。
主なメリットは、次の通りです。
- 現場での採寸や切断などの作業を減らせる
- 保温工程を短縮しやすい
- 仕上がりのばらつきを抑えやすい
- 高所や狭い場所での作業を減らせる
特に、施工スペースが限られている現場や工期をできるだけ短縮したい場合には、効果的です。
ただし、保温材付きダクトを使用してもフランジや継ぎ目、点検口、異形部など、現場で処理が必要な部分は残ります。
また、屋外では防水性のある外装材、防火条件がある場所では適切な防火仕様も必要になります。
そのため、保温材付きダクトを使用する際は、排気温度や湿度、設置場所、防火条件などを確認し、必要な性能を満たしているかを事前に確認しましょう。
山陰設備工業では、規格品の販売に加えて、現場の寸法や用途に合わせた特注ダクトの製作にも対応しています。
ダクトの製作から施工まで対応しているため、現場条件に合わせてダクト本体と保温方法をまとめてご相談いただけます。
排気ダクトの保温・製作なら設計・製造・施工まで対応する山陰設備工業まで!

排気ダクトの保温は結露や周囲への熱の影響を確認し、使用環境に合った仕様を選ぶことが大切です。
保温材の種類や厚さだけでなく、屋外では防湿・防水、厨房排気では防火性や清掃性にも注意しましょう。
山陰設備工業では、排気ダクトを含む空調・換気・排煙設備について、設計から製造、施工まで一貫して対応しています。
自社工場でダクトを製作しており、規格品の販売はもちろん、現場の寸法や用途に合わせた特注品の製作にも対応しています。
また、ダクト施工に加えて保温・保冷工事までまとめてご相談可能です。
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